THP125  加速器応用・産業利用  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
強度変調マルチイオン照射のためのシンクロトロン運転の検討
Study on synchrotron operation for intensity modulated multi-ion therapy
 
○水島 康太,古川 卓司,岩田 佳之,原 洋介,丹正 亮平,早乙女 直也,皿谷 有一,村松 正幸,白井 敏之(量研機構)
○Kota Mizushima, Takuji Furukawa, Yoshiyuki Iwata, Yousuke Hara, Ryohei Tansho, Naoya Saotome, Yuichi Saraya, Masayuki Muramatsu, Toshiyuki Shirai (QST)
 
放射線医学総合研究所(放医研)は1994年から1万人以上の患者に対して炭素イオンを用いた重粒子線治療を行ってきた。放医研ではこれまでに、シンクロトロンによる高速な可変ビームエネルギー制御方法と照射ビームの高速スキャン装置を開発し、現在はそれらを組み合わせた高速三次元スキャニング照射システムを用いて治療を行っている。2017年度からは回転ガントリー照射装置を用いた治療も開始され、360度の範囲から任意の照射角度を選択できるようになり、より良い治療成果が期待される。現在放医研では、さらなる治療効果の向上を目指し、複数のイオン種を用いたマルチイオン照射法の研究が進められている。この照射法では、強度変調した複数種のイオンビームで三次元線量分布を形成することで、照射領域の生物効果をこれまで以上に制御することが可能となる。マルチイオン照射法の実現に向けて、加速器システムでは、治療照射の中で供給するイオン種とエネルギーの素早い切り替えを実現する運転制御を目指している。本発表では、そのような目的のもと検討したシンクロトロンの運転制御方法と、HIMACで行ったビーム試験結果について報告する。