THP121  加速器応用・産業利用  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
金属磁性体コア防水膜の新規開発と中性子反射率法による構造解析
Development of new waterproof thin-layers for the magnetic alloy core and structural study by neutron reflectometry
 
○阿久津 和宏,佐原 雅恵(総合科学研究機構),新関 智丈,永山 紗智子,長谷川 良雄(アート科学),吉井 正人(KEK),下村 昭夫(下村漆器店),小松崎 秀人(茨城高専)
○Kazuhiro Akutsu, Masae Sahara (CROSS), Niizeki Tomotake, Sachiko Nagayama, Yoshio Hasegawa (ART KAGAKU), Masato Yoshii (KEK), Akio Shimomura (Shimomurashikkiten), Hidehito Komatsuzaki (National Institute of Technology, Ibaraki College)
 
J-PARCメインリングの加速器空胴に用いられる金属磁性体カットコアは、J-PARC陽子加速システム性能を飛躍的に高めるための重要な役割を担っている。本磁性体コアは水冷方式により冷却されているため、perhydropolysilazane (PHPS) 表面シリカコーティングによる防錆加工を施し、腐食劣化を抑制している。PHPSに疎水性のメチル基を導入したMePHPSは更に防水性に優れたコーティング材料として期待されているが、その特性やコーティング膜の成膜メカニズムに関する詳細は明らかとなっていない。本研究では、様々な基板材料の上にMePHPSコーティング膜を作製しその膜構造をFT-IR及び中性子反射率法により調べることで、MePHPS成膜メカニズムを考察した。中性子反射率の測定は、J-PARC MLF BL17に設置されている偏極中性子反射率計「写楽」で実施し、そのデータは解析ソフトMotofitを用いて解析した。FT-IR及び中性子反射率データ解析の結果、基板材料が変わるとMePHPS膜の密度は大きく変化することが見出されており、コーティングされる材料とMePHPSの間の親和性の違いが成膜後の膜構造に影響を及ぼしているものと考えられる。発表では、中性子反射率解析結果の詳細について示しながら、PHPS膜とMePHPS膜の防水性能の違いについて詳しく議論する。