THP112  真空  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
SuperKEKB陽電子リングにおけるビームロスを伴う圧力バーストの観測
Observation of pressure bursts accompanied by beam loss in the SuperKEKB positron ring
 
○末次 祐介(KEK/総研大),照井 真司,白井 満(KEK),池田 仁美,石橋 拓弥,柴田 恭(KEK/総研大),久松 広美,金澤 健一(KEK)
○Yusuke Suetsugu (KEK/SOKENDAI), Shinji Terui, Mitsuru Shirai (KEK), Hitomi Ikeda, Takuya Ishibashi, Kyo Shibata (KEK/SOKENDAI), Hiromi Hisamatsu, Ken-ichi Kanazawa (KEK)
 
KEKのSuperKEKB陽電子リングでは、2016年2月から6月までのPhase-1運転時、大きなビームロス、ひいてはビームアボートを伴う圧力バースト(突出)が頻繁に観測された。ビームロスは多くの場合ビームアボートの数ミリ秒前から発生していた。発生頻度は、最大ビーム電流を増大する際に増え、一定電流で運転していると減少する傾向があった。測定圧力分布からバーストの発生点を推定すると偏向電磁石部であった。観測結果から、この圧力バーストはビームパイプ内のダスト粒子とビームの衝突によるものと推定された。偏向電磁石用ビームパイプは電子雲不安定性対策としてグルーブ構造を持ち、ダストが捕捉されやすい。実際、ノッカーと呼ばれる衝撃を与える装置を偏向電磁石内のビームパイプに取り付け運転中に動作させると、観測した現象を再現した。また、Phase-1後、圧力バーストが頻繁に観測された場所にあるビームパイプ内から数百μm以上のアルミ、アルミ合金の粒子が多数採取された。Phase-2前の対策として、Phase-1時圧力バーストが観測された偏向電磁石用ビームパイプに対してノッカーを使って衝撃を与え、予めダスト粒子を落とした。Phase-2は2018年3月から7月まで予定されているが、5月13日の段階で、ビームロスを伴う圧力バーストは一回起きたのみである(最大ビーム電流0.41 A)。ここでは、陽電子リングで観測された圧力バーストの特徴、および対策方法とその効果等について報告する。