THP070  電磁石と電源  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
電子雲効果抑制用永久磁石ユニットが常伝導電磁石の磁場に与える影響
The effect of permanent magnets for electron cloud suppression on the magnetic fields of adjacent normal conducting magnets
 
○植木 竜一,江川 一美,末次 祐介,美佳 増澤(KEK/総研大)
○Ryuichi Ueki, Kazumi Egawa, Yusuke Suetsugu, Masuzawa Mika (KEK/SOKENDAI)
 
SuperKEKB加速器は2016年2月から6月にかけて試運転(Phase I)が行われた。この中で陽電子リングにおいてビーム電流を大きくすると垂直方向ビームサイズ増大等を伴う電子雲不安定性(Electron Cloud Effect, ECE)が観測された。特に900 mA以上で見られたECEはドリフト部のビームパイプ内の電子雲が原因であると考えられる。そのためPhase Ⅰ終了後、真空グループによってドリフト部のビームパイプにECE抑制用の永久磁石ユニット(Permanent Magnet Unit, PMU)の取り付けが行われた。設置されたPMUは鉄製PMUおよびアルミ製PMUの2種類である。鉄製PMUは強磁性体である鉄をフレームとして使用しているため、電磁石の近くに設置すると励起磁場を吸収する。特に電磁石と鉄製PMUの距離が近いと磁場の吸収が大きく、設置距離によっては積分磁場が仕様で定められた値より大幅に減少し、ビーム運転に影響を与える可能性もある。そこでハーモニックコイルおよびローテーションコイルを用いて電磁石と鉄製PMU間の距離を変化させたときの電磁石の積分磁場を測定した。その結果から鉄製PMUを取り付けていない場合を基準とした積分磁場の減少率を調べ、設置する鉄製PMUと電磁石との距離を決める際の参考とした。本発表では、鉄製PMUおよびアルミ製PMUが電磁石の励起磁場に与える影響、さらに電磁石評価の際に重要となる多極成分に与える影響を報告する。