THP034  ビームダイナミクス・加速器理論  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
非線形ビームダイナミクス研究を目的とした改良型ポールトラップ
A modified linear Paul trap for nonlinear beam-dynamics studies
 
○伊藤 清一,青木 将晃,檜垣 浩之,岡本 宏己(広大院先端)
○Kiyokazu Ito, Masaaki Aoki, Hiroyuki Higaki, Hiromi Okamoto (AdSM, Hiroshima Univ.)
 
加速器中を走行する荷電粒子ビームとイオントラップ中に捕捉されたイオン群(非中性プラズマ)の運動は空間電荷効果まで考慮しても物理的に等価である.従って,加速器ビームの運動を非中性プラズマを用いて模擬的に実験することが可能である.非中性プラズマを用いた実験には,パラメーターの制御性が高く,その可変範囲も広い,現象が眼前で進行するので観測が容易である,放射化の心配が無いなど数多くの利点がある. これまではイオントラップとして線形ポールトラップ(LPT)を主に採用してきた.LPTは四重極高周波電圧によりプラズマを断面方向に収束する.これは四重極磁場によるビーム収束と全く等価である.従って,高周波電圧の波形を変えることで四重極磁場で構成されるラティス構造を再現することが可能である.一方,加速器には四重極場に加え,これとは独立にビーム軌道補正用六極電磁石等の非線形場も存在する.四重極電極しか持たない標準的なLPTでは四極場と非線形場を独立に制御することが原理的に不可能である.従って,これら低次の非線形場を含むラティスを正確には再現することができない.我々は低次の非線形場が大強度ビームの運動に与える影響を調べるために,非線形場誘起用の補助電極付きLPTを開発した.改良型LPTの閉じ込め特性や初期的な非線形場励起実験の結果について報告する.