THP015  ハドロン加速器  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
自動サイクロトロン共鳴加速原理の陽子加速器への応用
Application of the cyclotron auto-resonance acceleration to a proton accelerator
 
○原 隆文,福田 光宏,依田 哲彦,神田 浩樹,中尾 正夫,安田 裕介(阪大RCNP),篠塚 勉,伊藤 正俊,松田 洋平(東北大CYRIC),倉島 俊,宮脇 信正,涌井 崇志(QST)
○Takafumi Hara, Mitsuhiro Fukuda, Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Masao Nakao, Yusuke Yasuda (RCNP,Osaka,univ), Tsutomu Shinoduka, Masatoshi Itoh, Yohei Matsuda (CYRIC,Tohoku,univ), Shun Kurashima, Nobumasa Miyawaki, Takashi Wakui (QST)
 
初期時進行癌治療への利用が期待されている短寿命RIを大量かつ安価に製造するため、高い電力効率を持つ大強度加速器の開発が求められている。大阪大学核物理研究センターでは、新しい加速技術である自動サイクロトロン共鳴原理を陽子やヘリウムイオンの加速に適用した加速器の開発を目指している。自動サイクロトロン共鳴は、Yale大学のHirshfield教授によって開発された加速技術である。一般のサイクロトロンでは荷電粒子を平面に渦巻き状の軌道に沿って移動させる。一方で、自動サイクロトロン共鳴はジャイロトロンなど高周波電磁波の発生に用いられているサイクロトロン共鳴の逆過程であり、荷電粒子が高周波電磁波によって螺旋状の軌道を描くことによって加速を行う。 そのため一般的なサイクロトロンと比べバンチ間の距離が長くなることで空間電荷効果を抑制することができ、大強度ビームの加速が可能となる。過去に電子ビームを加速した実験では、96%という高いエネルギー効率を達成しており、陽子や軽イオンに適用できればRI製造に適した極めて高い電力効率を持つ大強度加速器を実現することが可能になる。本発表では、自動サイクロトロン共鳴を陽子や軽イオンに適用した小型加速器の構成及び仕様等の概念検討の状況について報告する。