THP009  電子加速器  8月9日 大展示ホール 13:10 - 15:10
ILCビームダンプの設計
Beam Dump Design of International Linear Collider
 
○森川 祐,奥木 敏行,照沼 信浩(高エネ研)
○Yu Morikawa, Toshiyuki Okugi, Nobuhiro Terunuma (KEK)
 
 ILC(国際リニアコライダー; International Linear Collider)にはビームを安全に吸収・冷却する装置であるビームダンプが全体で15基あり、受け入れるビームの特性に合わせて個別に設計されている。例えば、ビームダンプの中でも最大のビームパワーを受けるのは、ビームライン最下流に設置されるメインビームダンプであり、将来の可能性を考慮して最大17MWのビームの入射を想定している。このメインビームダンプでは17MWものビーム熱を吸収・熱輸送し続けるためにビーム吸収体を水として設計している。また、陽電子生成用のアンジュレーター光を受けるフォトンダンプでは、ビームパワーとしては120kWであるが、光子ビームであるためにビームサイズを広げることができず発熱密度が高くなる。よってこのフォトンダンプでは発熱密度を下げるために低原子番号素材のグラファイトをビーム吸収体として設計を進めている。  ビームダンプの設計では主にシミュレーションを通して構造の最適化を進めている。ビーム熱や放射線ダメージの評価については高エネルギー放射線と物質の相互作用を評価するモンテカルロ計算コード(FLUKA)を利用し、このFLUKAで評価したビーム熱分布を用いて汎用有限要素解析ソフト(ANSYS)で温度分布や応力の評価を行っている。  今回はこれらILCビームダンプの設計概要と構造評価について報告する。