THOM09  電子加速器2  8月9日 特別会議室2 11:30 - 11:50
高輝度ビーム実現に向けたcERL入射器空洞のカプラーキックの評価
Evaluation of coupler kick of cERL injector cavity for high brightness beam realization
 
○布袋 貴大(総研大),宮島 司,加藤 龍好(高エネ研)
○Takahiro Hotei (SOKENDAI), Tsukasa Miyajima, Ryukou Kato (KEK)
 
超伝導空洞には大電力を投入するためのカプラーや大電流ビームが誘起する高調波の減衰のためのカプラーが用いられる。これらのカプラーが加速モードの電磁場を歪めることが知られている。KEKにある小型のエネルギー回収型線形加速器(cERL)は超伝導線形加速器の1つである。cERLは 1 mm.mradの規格化エミッタンスを持つ 60 pCのビームが得られる設計であるが、実際には 40 pCのビームであっても 2 倍以上大きなエミッタンスになっている。品質悪化の原因を追究するために上流から調査を行ったところ、電力投入用・高調波減衰用のカプラーを備える入射器空洞の通過により、ビームプロファイルが設計と異なり水平・垂直のビームサイズ比が 1.3 程度に歪むことが観測された。設計からのズレはエミッタンスの補償条件を崩し、品質悪化に繋がる可能性がある。本研究では設計からのズレの原因となり得る入射器空洞のカプラーの影響を定量的に評価するために転送行列の測定を行った。さらにカプラー形状を含めた3次元の空洞モデルを作成し、電磁場解析を行うと水平・垂直方向の収束力の比として約 1.3 の値が得られ測定結果と一致した。これよりプロファイルが非対称となる主要因はカプラーの影響であると結論付けられる。またカプラーによる電磁場の歪みをモデルに取り込むことで、実際のビームの振る舞いをある程度、定量的に再現可能であることを示した。