THOLA02  学会賞受賞講演  8月9日 合同会場 17:45 - 18:05
XFELのマルチユーザー利用を実現した電子ビーム振り分けシステム
Beamline switching system for XFEL multi-user operation
 
○近藤 力(高輝度光科学研究センター,理化学研究所),原 徹(理化学研究所),川口 祐介,川口 秀章(ニチコン草津株式会社)
○Chikara Kondo (JASRI,RIKEN SPring-8 Center), Toru Hara (RIKEN SPring-8 Center), Yusuke Kawaguchi, Hideaki Kawaguchi (Nichicon (Kusatsu) Co. Ltd.)
 
X線自由電子レーザー(XFEL)は、様々な分野の先進的な実験に広く使われており、ユーザー利用時間の拡大が強く要望されていた。SACLAでは、線型加速器からの60Hzの電子ビームを2本のアンジュレータビームライン(BL2、BL3)に振り分けることで、利用時間の大幅な拡大に成功した。SACLAの電子バンチのピーク電流は10kAと非常に高いため、BL2へのドッグレッグビーム輸送路におけるコヒーレントシンクロトロン放射(CSR)がビーム軌道やエミッタンスに与える影響が顕著で、当初ピーク電流を制限して運転せざるを得ない状況であった。そこで、位相差πの2つのDouble Bend Achromatから成るビーム光学系を導入し、CSR効果を相殺している。この輸送系では、4~8GeVの電子ビームを安定に1.5°偏向させるキッカー電磁石が必要になる。我々は、この電磁石と共に、これを励磁するためのショット毎に台形の電流パターンを±300Aの範囲で可変、かつ高安定化できるパルス電源を開発した。この電源のスイッチング素子には、大電力かつ高速スイッチングが可能なSiC MOSFETを用い、 PWM制御に加えて位相差スイッチング方式を採用することで電流精度15ppm(全幅)を達成した。また小電流では動作する素子数を減らし、出力段にバイパス回路を設けることで、広い電流範囲における高精度制御を実現した。