THOL06  加速器応用・産業利用2  8月9日 特別会議室1 10:30 - 10:50
日大LEBRA-PXR線源を用いたコンピュータ断層撮像
Computed tomography utilizing LEBRA-PXR source at Nihon University
 
○早川 恭史,早川 建,野上 杏子,境 武志,住友 洋介,高橋 由美子,田中 俊成(日大LEBRA)
○Yasushi Hayakawa, Ken Hayakawa, Kyoko Nogami, Takeshi Sakai, Yoske Sumitomo, Yumiko Takahashi, Toshinari Tanaka (LEBRA, Nihon U. )
 
日本大学電子線利用研究施設(LEBRA)ではパラメトリックX線放射(PXR: parametric X-ray radiation)を放射源とするX線源を開発し,利用研究に供している。単色性とエネルギー選択性に優れ,線源であるシリコン単結晶に起因した空間コヒーレンスを有するため,回折型位相コントラストイメージングなどで成果が得られている。このPXR線源は,用いる電子リニアックがパルス型であることを反映し,平均X線強度については通常のX線管に比べても低いものとなっている。しかしながら,PXRエネルギーの電子エネルギー依存性は非常に低く,照射される電子ビーム電流の変動以外に強度の不安定性を引き起こす要因があまりないという特性がある。主に自由電子レーザの性能向上のために実施したリニアック安定化の努力の結果,LEBRA-PXR線源は,電子リニアック基盤のエネルギー可変単色X線源としては非常に安定なものとなった。この安定性により,数百枚の投影像が必要なコンピュータ断層撮像(CT: computed tomography)をPXR線源を用いて実施することが現実的となった。近年,大面積で高感度なX線フラットパネル検出器が市販で入手可能となり,LEBRA-PXR線源でも数10秒でCTの投影像に使用可能なX線像が得られるようになったことから,現在ではCT撮像はPXR線源の主要な応用の一つとなっている。さらに,K殻吸収端を利用した3次元元素イメージングにも取り組んでいる。これらの実験例について報告する。