FROM13  加速器土木・放射線防護  8月10日 特別会議室2 15:30 - 15:50
J-PARC MRコリメータ下流部の放射線モニタリング
Radiation monitoring in the downstream area of J-PARC MR collimators
 
○白形 政司,高野 淳平(高エ研/J-PARC),上川 将章,米本 和浩(関電工)
○Masashi Shirakata, Junpei Takano (KEK/J-PARC), Masaaki Kamikawa, Kazuhiro Yonemoto (KANDENKO CO., LTD)
 
陽子加速器のような高エネルギーハドロンビームを扱う装置では、ビームロスを起こした際に高いエネルギーの中性子線やγ線が発生し、周辺機器に障害を与える。そのため、陽子加速器に使用する機材はその材質から構造に至るまで、耐放射線性を考慮した設計でなければならない。通常、その様な機器の耐放射線性の試験では、原子炉から得られる同位体による放射線源を用いた照射試験が行われてきた。しかし、放射性同位体を使った試験で利用できるのはほぼγ線のみであり、エネルギーも数MeV以下と高くない。加速器におけるビームロスで発生する中性子は、熱中性子からGeVオーダーのエネルギーを持つ高速中性子までの広いスペクトルを持ち、またγ線もGeVオーダーのエネルギーを持っており、核崩壊によって得られるものとは大きく異なっている。また、場所によっては、陽子やπ中間子といった荷電粒子が直接飛んでくることもある。J-PARC MRでは実際の陽子加速器環境下での照射試験を行うため、あえてビームロスを起こさせることで大量の放射線が得られるビームコリメータ下流部に、耐放射線試験場を2012年から整備してきた。ここでは試験場での放射線環境のモニタリングについて、その方法とこれまで蓄積されてきた観測データを示す。