FROLT01  技術研修会2  8月10日 合同会場 11:00 - 12:00
数値シミュレーションの基礎 (時間進展問題に対する解析の留意点について)
Introduction to numerical simulation (Points to notice in numerical analysis for time dependent problems)
 
○倉橋 貴彦(長岡技術科学大学)
○Takahiko Kurahashi (Nagaoka University of Technology)
 
本講演では,時間進展の問題を対象とした数値シミュレーションにおいて,計算誤差が増大し発散しないように計算条件を設定する方法について説明する.数値計算では,一般に,支配方程式に対して離散化を行い,微分方程式を代数方程式に変形することによりプログラミングを実施するが,適用する離散化の方法が適切でない場合,どのような計算条件を設定したとしても,計算が発散する場合がある.これは理論的にも証明することができフォン・ノイマンの安定性解析を実施することにより確認することができる.この安定性解析を実施することにより,計算を安定に行うための計算条件の設定範囲を誘導することができ,汎用ソフトウェアが頻繁に使用される現在においては,この安定解析法は必ず知っておくべきものである.また,この計算安定性に関する考察を踏まえ,計算を安定にする「有限差分法による離散化式」と等価となるように「有限要素法による離散化式(有限要素方程式)」を誘導する方法が開発された.現在では,安定化有限要素法という呼び名として知られており,計算力学の分野においては様々な問題に対して幅広く適用されている.このような経緯も踏まえ,本講演では計算の安定性に焦点をおき,上記の内容について解説を行う.