WEP080  加速器技術/電磁石と電源  8月5日 小ホール 13:00 - 15:00
ステアリング電磁石の限界性能
Smallest Correction Angle and Fastest Correction Cycle of Steering Magnets at the SPring-8 Storage Ring
 
○妻木 孝治,張 超(JASRI),武部 英樹(沖縄科学技術大学院大)
○Koji Tsumaki, Chao Zhang (JASRI), Hideki Takebe (OIST)
 
SPring-8蓄積リングでは当初水平、垂直各288台の軌道補正用ステアリング電磁石が用意されており、そのうち各12台を使用してゆっくりした軌道の補正を行っていた。ステアリング電源の電流値は、±5Aを16ビットで設定しているため最小電流分解能は0.153 mAで、電子ビームの蹴り角に換算すると水平が30 μradで垂直が半分の15 μradである。このような微小な蹴り角にもかかわらず、ゆっくりした軌道補正のとき微小な軌道のジャンプが見られ、さらに分解能の良いステアリング電磁石が必要になった。そこで既存のステアリング電磁石の設定分解能を上げることが検討されたが、電流値や磁場が小さくなりノイズやヒステリシスのため分解能が上がらないことが懸念された。そこで電源の出力電流を下げてどこまで有意な磁場変化が得られるかを検討した。また軌道補正はゆっくりしたものでばかりではなくチェンバーや磁石の振動に起因する早い軌道補正も必要である。振動による200Hz程度以下の早い軌道の変動をフィードバックで補正するためには、10KHzまでの磁場の周波数が必要である。そこで空芯のステアリング電磁石を用いてアルミチェンバーとSUSチェンバーの場合についてどの程度の周波数まで補正可能かについても検討した。発表ではこのようにステアリング電磁石を極限まで使用したときの限界について検討したのでその結果について述べる。