WEP038  加速器技術/粒子源  8月5日 小ホール 13:00 - 15:00
CsK2Sbマルチアルカリフォトカソードの特性研究
Study of Characterization of CsK2Sb multialkali photocathode
 
○横田 温貴,栗木 雅夫,根岸 健太郎,郭 磊,浦野 正洋(広島大学),許斐 太郎,清宮 裕史(KEK)
○Atsuki Yokota, Masao Kuriki, Kentaro Negishi, Rai Kaku, Masahiro Urano (Hiroshima Univ.), Taro Konomi, Yuji Seimiya (KEK)
 
光陰極電子銃による電子ビームは低エミッタンス、短パルスなどの優れた性能を持つことから先進型加速器において重要な役割を担う。他方、大電流発生が必要な場合、陰極の劣化による引き出し可能電流の低下が問題となる。CsK2Sbマルチアルカリフォトカソードは、耐久性が高く、波長が500nm帯の緑色光で電子発生が可能で、量子効率が10%程度と高いことが特長のフォトカソードである。このような特性から、大電流生成が必要な、Free Electron Laser、Energy Recovery Linacなどの線形加速器による次世代放射光源、小型線形加速器によるレーザーコンプトン散乱による準単色X線源等、先進的線形加速器における電子源として期待されている。マルチアルカリフォトカソードは、PMTとして実用化されているが、加速器用電子源として最適化された成膜技術が確立されておらず、電荷引出しや時間経過による量子効率の減少への理解も不十分である。本研究は、成膜条件の最適化と量子効率の劣化プロセスの理解のため、カソード生成後、量子効率変化などの基礎的な測定を行った。本研究では、極高真空環境でマルチアルカリフォトカソードを蒸着生成し、電荷引出しや時間経過による量子効率変化を測定した。また各金属の蒸着時の基板温度や膜厚、蒸着速度などの蒸着条件を変化させ、高量子効率なカソードの成膜を行った。今後、寿命特性の理解、高性能カソードへの最適化のための知見を得るのが課題である。