THP129  加速器応用、産業利用  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
70 keV電子線照射によるInGaPおよびGaAs太陽電池の性能劣化
Performance degradation of InGaP and GaAs cell by radiation of electron beams at 70 keV
 
○奥野 泰希(阪府大 工学研究科),奥田 修一,小嶋 崇夫,岡 喬(阪府大),川北 史郎,今泉 充,艸分 宏昌(宇宙航空研究開発機構)
○Yasuki Okuno (OPU Engineering), Shuichi Okuda, Takeo Kojima, Takashi Oka (OPU), Shirou Kawakita, Mitsuru Imaizumi, Hiroaki Kusawake (JAXA)
 
 人工衛星などの電力源として宇宙太陽電池が利用されており、太陽電池の放射線劣化について予測を行うための研究が行われてきた。宇宙太陽電池の放射線劣化のメカニズムは詳しく分かっていないが、メカニズムの解明は高放射線耐性宇宙太陽電池の開発および宇宙太陽電池の運用時間の向上に期待されている。  先行研究においてInGaPセルの電子線照射試験が行われた。この研究では、Non-Ionizing Energy LossによるInGaPセルの原子のはじき出し予測ではじき出しがないと予測されているエネルギーの電子線照射で発電効率の劣化現象が確認されたが、その劣化についての要因は明らかではない。本研究では、はじき出しがないと予測されている電子線を照射し宇宙太陽電池の劣化を評価した。  半導体の構成元素の原子がはじき出さない電子線エネルギーは100 keV以下のエネルギーである。大阪府立大学放射線センターにあるコッククロフトウォルトン型電子線加速器システムは、60-600 keVの電子線を照射できる。またこれは宇宙太陽電池照射試験用に最適化されており、世界でもほとんどない。このシステムによってInGaPセルおよびGaAsセルへ70 keVの電子線の照射を行うと、エレクトロルミネッセンスによる発光強度の低下およびキャリア濃度の低下が確認された。発表では、この非常に低エネルギーな電子線の照射による太陽電池の劣化の要因についての議論を行う。