THP084  加速器技術/ビーム診断・制御  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
SPring-8でのビーム位置モニタ長期安定化に向けた新たな取り組み
Recent activities at SPring-8 to improve the long-term stability of the beam position monitors
 
○藤田 貴弘,高野 史郎,正木 満博((公財)高輝度光科学研究センター),前坂 比呂和(理研播磨),松原 伸一,出羽 英紀,佐々木 茂樹((公財)高輝度光科学研究センター),大竹 雄次(理研播磨)
○Takahiro Fujita, Shiro Takano, Mitsuhiro Masaki (JASRI/SPring-8), Hirokazu Maesaka (RIKEN), Shinichi Matsubara, Hideki Dewa, Shigeki Sasaki (JASRI/SPring-8), Yuji Otake (RIKEN)
 
放射光源リングでのビーム位置モニタの安定度は、次の2点のために重要である。1.ビーム位置モニタ(BPM)が、各光源点での位置と角度を決める。2.SPring-8アップグレード計画に代表される、100pmrad程度の蓄積リングではビームの安定領域確保の観点から、BPMの検出位置ドリフトを現在に比べて1/10程度に小さくする必要がある。SPring-8では、1997年のコミッショニング後に、BPMケーブル中の定在波の影響がミリメートル程度の位置オフセットとして表れていたため、軌道を意図的に振った際の応答から、4電極電圧のバランスについて補正を行った。この補正値は1度補正した後は、一定であることが期待されたものの、実際は長期間にわたって補正量が変動する(大きなものでは100um程度)ことが観測されており、運転サイクルごとの軌道の再現性など、BPMによる軌道補正の大きな問題となっている。この長期変動の解消のため、収納部内にアイソレータを設置して定在波の抑制を進めてきたが、十分な改善にはつながっていない。最近になって、ドリフト量の大きなBPMの設置場所は、比較的、放射線量が高く、また、BPMケーブルへのノイズの重畳、ケーブルのインピーダンス変化などが見つかっている。本報告では、上記に述べたBPMの長期ドリフトと収納部内の環境、信号処理回路との関係についての調査状況を報告する。