THP075  加速器技術/電磁石と電源  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
J-PARC RCSにおけるペイント入射用電磁石電源の高精度出力調整
Precise current adjustment of the power supply for the injection painting magnets in the J-PARC RCS
 
○加藤 新一,高柳 智弘,原田 寛之,飛田 教光,堀野 光喜(原子力機構/J-PARC),植野 智晶(NAT),金正 倫計(原子力機構/J-PARC)
○Shinichi Kato, Tomohiro Takayanagi, Hiroyuki Harada, Norimitsu Tobita, Koki Horino (JAEA/J-PARC), Tomoaki Ueno (NAT), Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC)
 
大強度陽子加速器であるJ-PARC 3GeV RCSでは、ビームロスの原因となる空間電荷力を緩和するために、多重入射中にLinacからの入射ビームを位相空間上の任意の範囲に意図的に広げて入射するペイント入射を行っている。水平方向のペイントは、個別に電源を持つ4台の水平ペイントバンプ電磁石の出力を多重入射時間の0.5 msで立ち下げ、入射点での周回軌道の位置と傾きを時間的に変動させることで行われる。ビームロス低減のためには、シミュレーションと実験から検討した時間変動パターンを、低出力の領域まで正確に再現する必要がある。また、閉軌道変動を抑制するために、4台の水平ペイントバンプ電磁石の出力バランスを保つ必要がある。そのため、高精度の出力調整が必須である。水平ペイントバンプ電磁石用電源は、電流と電圧の指令値を制御回路に入力することで電流を出力する。そこで、指令電圧値を変化させた時の出力電流の応答特性を調査した。この結果、再現したい時間変動パターンからの誤差を補正するために必要な、指令電圧値の微小量が判明し、高精度の出力調整が可能となった。また、現在RCSで用いている時間変動パターン以外のパターンにおいても、出力電流の応答特性は同一であることを明らかにし、様々な時間変動パターンに対しても高精度の出力調整が可能であることを示した。さらに、調整時間の大幅な短縮を目的として、自動的に出力調整を行うルーチンを現在開発中である。