THP025  ビームダイナミクス、加速器理論  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
バリアバケット閉じ込めの力学
Dynamics of Barrier Bucket Confinement
 
○廣瀬 正武(KEK,東京都市大学),高山 健(KEK、東工大、東京都市大学、総研大),由元 崇,Liu Xigguang(KEK、東工大)
○Masatake Hirose (KEK,Tokyo City University), Ken Takayama (KEK,Tokyo Institute of Technology,Tokyo City University,SOKENDAI), Takashi Yoshimoto, Xigguang Liu (KEK,Tokyo Institute of Technology)
 
バリアバケットによるビーム閉じ込めには歴史がある。まず初めに、1987年の米フェルミ国立加速器研究所のテバトロンでJ.E. Griffinにより提案され、実証された方式である[1]。このバリアバケットは高周波成分にRF電圧を重畳する方式で発生させたものである。これ以来、いくつかのグループがこの方法を取り込んだ。そして、Fermilab Antiproton Recyclerでは通常操作として利用されている。2000年に誘導加速シンクロトロンの概念が提案された。これはパルス電圧により発生したバリアバケットでのビーム閉じ込めを想定した加速器である。この概念は2006年に12 GeV PSを利用した実験で証明された[2]。初期の頃より、バリアバケットによる位相空間での粒子のカオス的な振る舞いが懸念されていた。しかしながら、このことに対して注目した研究は行われてこなかった。ここでは、有限な立ち上がり/立ち下がりと振幅によるパルス電圧特性とバリアバケットのパラメータに対し粒子が鋭敏な反応を示し、カオス的な振る舞いを起こすことについて議論する。我々はこの不安定性によって起因する縦方向のエミッタンス増加の対応策を提案する。 [1] J. Griffin, C. Ankenbrandt, J. MacLachlan, and A. Moretti, IEEE Trans. Nucl. Sci. NS-30, 3502, 21-23 Mar. 1983. [2] Ken Takayama and R.J. Briggs, Chapter 11 and 12 in Induction Synchrotron (Springer, Heidelberg, 2011).