THP001  電子加速器  8月6日 小ホール 13:00 - 15:00
電子ドライブ方式によるILC陽電子源の最適化とマルチバンチ効果の評価
An optimization of electron-driven ILC positron source and evaluations of multi-bunch effects
 
○清宮 裕史,大森 恒彦,奥木 敏行,佐藤 政則,浦川 順治(KEK),栗木 雅夫,高橋 徹(HU/AdSM),柏木 茂(Tohoku U.)
○Yuji Seimiya, Tsunehiko Omori, Toshiyuki Okugi, Masanori Satoh, Jyunji Urakawa (KEK), Masao Kuriki, Tohru Takahashi (HU/AdSM), Shigeru Kashiwagi (Tohoku U.)
 
国際リニアコライダー(ILC)は、ヒッグスセクターやトップクォークなどの精密測定によって電弱対称性の破れの背景にある新物理を解明するための、次世代電子陽電子衝突型加速器である。現在ILC陽電子源として、アンジュレーター方式が基本ビームラインとして採択されている。この方式は、アンジュレーターによって電子ビームが蛇行する際に発生するガンマ線を、標的に当てることで陽電子を生成する方式である。しかし、そのガンマ線のドライバーとして130GeVを超える電子ビームが必要となるため、事前のシステム実証が困難である。また、ターゲットへの熱負荷を軽減するために高速回転ターゲットが必要であり、それが技術リスクをはらんでいる。巨大プロジェクトであるILCに失敗は許されない。そのため、アンジュレータ方式の技術的バックアップが必要である。そこで我々は、従来方式である電子ドライブ方式を基にILC陽電子源設計を行った。この方式では、数GeVの電子源を新設し、その電子ビームをターゲットに当てることで陽電子を生成する。 この電子源の新設により、マルチバンチの時間構造を自由に変えることができるため、ターゲットへの熱負荷を大幅に軽減することができ、回転ターゲットの技術リスクは大きく低下する。ここでは、電子ドライブ方式によるILC陽電子源設計の最適化とマルチバンチ効果の評価結果を報告する。