THOM03  電磁石と電源  8月6日 あいあいホール 9:40 - 10:00
シンクロトロンの「内在リップル」について
Study of the 'Intrinsic Ripples' in Synchrotron
 
○白壁 義久(KEK),モロドゼンツェフ アレクサンダー(チェコ共和国科学アカデミー物理学研究所),森 義治,武藤 正文(京都大学原子炉実験所),堺 高見,山崎 長治,吉野 輝雄(TMEIC 東芝三菱電機産業システム)
○Yoshihisa Shirakabe (KEK), Alexander Molodozhentsev (Institute of Physics, Academy of Sciences of the Czech Republic), Yoshiharu Mori, Masayuki Muto (RRI, Kyoto University), Takami Sakai, Choji Yamazaki, Teruo Yoshino (TMEIC Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial Systems)
 
近頃見出されたシンクロトロンの「内在リップル」について報告する。シンクロトロンでは、安定なビーム加速を実現するために、一般的に磁場のリップルが1e-6台以内であることが必要とされている。磁場リップルの発生機構に付いては、シンクロトロン原理の発見から70年過ぎた今日でも未だに十分明らかになっていないが、これを解明する第一段階として、無リップルの理想的な電磁石電源を仮定し、理想的加速パターン電流が電磁石負荷系に流された時にどのようなリップルが発生するかを調べた。その結果、例え無リップルのパターン電流であっても磁場にリップルが発生する事が世界で初めて発見され、これを「内在リップル(Intrinsic ripples)」と定義して論文発表を行なった。(IEEE Transactions on Nuclear Science, Vol. 61, Issue 5, 2014, p2579-)「内在リップル」は、電磁石負荷系のインダクタンスとキャパシタンスが調和振動系を作っている所に、外部起振力としてパターン電流が流されることで不可避的に発生する。その振幅は簡単な表式で得られ、負荷系の持つインダクタン、キャパシタンス、及び電流パターンによって決められている。また「内在リップル」に大きく影響を及ぼす要素として、並列ダンピング抵抗と配線系キャパシタンスも極めて重要であり、その性質もJ-PARC Main-ringの具体例に基づいて解説する。