THOM01  電磁石と電源  8月6日 あいあいホール 9:00 - 9:20
J-PARCメインリング 入射補正キッカー電磁石の性能評価
Performance of the compensation kicker magnet for J-PARC main ring injection
 
○杉本 拓也,石井 恒次,Fan Kuanjun,松本 浩,外山 毅(高エネ研)
○Takuya Sugimoto, Koji Ishii, Kuanjun Fan, Hiroshi Matsumoto, Takeshi Toyama (KEK)
 
J-PARC加速器メインリングでは、2台のセプタム電磁石と4台の集中定数型キッカー電磁石を用いて、RCSから供給される3GeVの陽子ビームを計8バンチ入射している。入射キッカー電磁石のパルス磁場には、浮遊インダクタンス成分や、インピーダンスのミスマッチにより、約7%の反射波や約5%のテール構造が存在していたが、2013年夏のシャットダウン中に実施した2種類の補正回路の導入と、インピーダンス整合回路の最適化により、励磁電流波形の立ち上り時間は190nsに、テール部は1%以下にまで改善する事が出来た(IPAC14 MOPME069ならびに第11回加速器学会年会 SUOL04にて報告)。しかしながら、補正回路の導入により約10%の新たな反射波が生じてしまい、更に別の周回バンチを蹴ってしまう事が分かったため、これを補正するためのキッカー電磁石(集中定数型、磁極長1m、最大積分磁場0.01Tm)を製作した。波形調整を容易にするため、コイルやフェライト、インピーダンス整合回路は気中に置き、セラミックダクト(内面をTiN成膜)内のみを真空にする構造を採用した。2015年4月にトンネル内(入射キッカー電磁石の下流約80m)に設置し、設置後のビーム試験で、デザイン通り最大で約0.8mradの蹴り角を得た。本発表では電磁石のデザインとサーチコイルによる磁場測定、ワイヤーによるインピーダンス測定、陽子ビームを用いた性能評価、ならびに今後のアップグレード計画について議論する。