WEP138  加速器応用・産業利用  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
粒子線治療用ビーム形状の回転ガントリ角度依存性解析
Study of gantry angle dependency of beam shape for particle beam therapy
 
○青木 孝道,えび名 風太郎,梅澤 真澄,野村 拓也,遠竹 聡(株式会社 日立製作所)
○Takamichi Aoki, Futaro Ebina, Masumi Umezawa, Takuya Nomura, Satoshi Totake (Hitachi, Ltd.)
 
がん治療の一種である粒子線治療では、加速器で生成された粒子線ビームをがんなどの照射対象に照射する。照射対象に任意の角度から粒子線を照射するために回転ガントリ輸送系が用いられる。回転ガントリ輸送系では固定輸送系との接続点におけるビーム軌道を軸として下流の輸送系を回転させ、照射対象への照射方向を制御することができる。従来、回転ガントリ輸送系の光学設計では一つの回転角度で固定輸送系との接続点と照射中心において、ビームの水平方向と鉛直方向のTwissパラメータをそれぞれ互いに等しくしていた。この条件によって、回転ガントリ輸送系の回転角に対して照射点でのTwissパラメータを一定に保つことが可能である。しかしながら、近年スキャニング照射法の発展に伴い、照射精度向上のために照射ビームの形状を制御する必要が求められている。本研究では5次元の位相空間上における光学計算を元に、従来考察されていなかった照射点におけるビーム形状のガントリ回転角依存性を光学計算によって解析した。結果、ビームサイズの縦横比と空間的な傾き角と回転ガントリ輸送系中のベータトロン振動の位相進みの間の関係を導出および定式化し、ビーム形状をガントリ回転角に対して不変とできる条件を見出した。本発表では上記ビーム形状とベータトロン振動数の関係の定式化とビーム形状をガントリ回転角に対して不変とできる条件の詳細について述べる。