WEP137  加速器応用・産業利用  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
小型陽子線治療システム用高エネルギービーム輸送系の光学系設計
Optical design of a high energy beam transport for compact proton beam therapy systems
 
○えび名 風太郎,青木 孝道,篠澤 柚衣(株式会社 日立製作所)
○Futaro Ebina, Takamichi Aoki, Yui Shinozawa (Hitachi, Ltd.)
 
近年、陽子線治療システムは回転ガントリを備えた治療室を1室のみの、より低コストでかつ小型で設置面積が小さいシステムが求められている。その実現のためには加速器、回転ガントリの小型化だけでなく、ビーム輸送系を極力短くする必要がある。本研究では、回転ガントリ入射前の偏向電磁石を省略した短縮型の高エネルギービーム輸送系を考案した。偏向電磁石を省略した高エネルギービーム輸送系では、回転ガントリの入口におけるディスパージョンとその勾配を同時に0に補正することができない。また、高エネルギービーム輸送系中の四極電磁石員数が限られることにより、回転ガントリ入口におけるTwissパラメータを任意の値に調整することが困難である。そこで本研究では、回転ガントリ入口におけるディスパージョンをビーム輸送系設計の制約条件から外し、アイソセンタにおけるディスパージョンが直交する二種類のガントリ回転角度について同時に0となる様に高エネルギービーム輸送系中の四極電磁石の励磁量を設定した。Twissパラメータについても同様に、直交する二角度のアイソセンタにおける値のみを制約条件として光学系を設計した。これにより、偏向電磁石を省略した高エネルギービーム輸送系であっても任意のガントリ回転角についてアイソセンタにおけるディスパージョンを0に補正し、Twissパラメータを目標値に一致させることが可能となる。