WEP135  加速器応用・産業利用  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
粒子線治療のためのスパイラルビームスキャニングによる高精度照射システムの開発
Development of the irradiation system with spiral beam scanning for particle therapy
 
○原 周平,福田 光宏(核物理研究センター),小泉 雅彦,高階 正彰,隅田 伊織(阪大 医学系研究科),村上 秀明,北森 秀希(阪大歯学部付属病院),依田 哲彦,神田 浩樹,中尾 政夫(核物理研究センター),岸上 祐加子,佐川 友啓(阪大 医学系研究科),山野下 莉那,Koay Huiwen,鎌倉 恵太(核物理研究センター)
○Shuhei Hara, Mitsuhiro Fukuda (RCNP), Masahiko Koizumi, Masaaki Takashina, Iori Sumida (Osaka university Graduate School of Medicine), Shumei Murakami, Hideki Kitamori (Osaka university Dental Hospital), Tetsuhiko Yorita, Hiroki Kanda, Masao Nakao (RCNP), Yukako Kishigami, Tomonari Sagawa (Osaka university Graduate School of Medicine), Rina Yamanoshita, Huiwen Koay, Keita Kamakura (RCNP)
 
高い線量集中性に優れる粒子線治療では、従来のスキャニング照射法では腫瘍の境界部分の線量に過不足が生じやすく、腫瘍辺縁部の線量分布形成に改善の余地がある。本研究では腫瘍辺縁部及びその内部に対する高精度照射を目的としたスパイラルビームスキャニングの研究開発を行っている。この照射法では腫瘍輪郭の相似形状で渦型にビームを走査させて連続照射することにより、高い原体性を実現することが可能である。これまでに真円形状と、実際の腫瘍を基にした形状についての均一線量分布の形成を目指し、大阪大学核物理研究センターで80MeV陽子線のGAHCHROMICフィルムへの照射試験を行った。真円形状については、走査軌道を一定に保ち、渦型軌道の間隔とビーム径(FWHM)を適切な比で保つことにより均一度±3.5%の線量分布を形成することに成功した。また、腫瘍との境界部分の半影を表すペナンブラ(80%~20%線量の間の長さ)は2mm程度となった。腫瘍形状に基づいた形状への照射では、腫瘍の形状の変形に起因する走査軌道間隔の粗密のため、一定の走査速度で照射すると高線量部分と低線量部分が生じた。これを改善するために、走査速度やビーム径などのパラメーターを変調させたビーム制御を検討している。本発表では本研究の照射法の詳細と行った照射試験の結果について報告する。