WEP132  加速器応用・産業利用  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
レーザー加速イオンのシンクロトロンへの直接入射の検討
Research on direct injection of laser-accelerated ions into synchrotron
 
○野田 悦夫,白井 敏之,水島 康太,岩田 佳之,野田 章,野田 耕司(量研機構)
○Etsuo Noda, Toshiyuki Shirai, Kota Mizushima, Yoshiyuki Iwata, Akira Noda, Koji Noda (QST)
 
現在、量研機構で進められている量子メスプロジェクトの開発テーマの一つに、超伝導技術とレーザー加速技術による重粒子線がん治療装置の小型化があげられている。今回、レーザー加速イオンのシンクロトロンへの直接入射に関するフィージビリティスタディを行った。主な検討項目は、1ターンあたりに入射可能な粒子数の限界と多重回入射方式による蓄積可能粒子数の2点である。今回の検討は、現状の普及型シンクロトロンで行い、蓄積粒子数(C6+)の目標を1×10^9個以上、レーザー照射間隔を100msとした。加速イオンを約1.4m飛行させた後、縦方向の位相回転により1/10にエネルギー圧縮を行い、4MeV/u±1%の幅の粒子を切り出してシンクロトロンに入射する。この時の入射ビームのパルス幅は約5ns、パルス長は約14cmとなる。入射後のビームは、自らの速度広がりにより伸長し、次の入射時には、あるエミッタンスの領域をほぼ一杯に満たす。検討の結果以下のことが分かった。 1.空間電荷効果を考慮すると、1ターンあたりシンクロトロンに入射可能な粒子数の上限は約2×10^8個である。 2.入射ビームのパルス幅(5 ns)が周回時間(1〜2μsec)に比べ十分短いため高速キッカー電磁石による多重回入射方式を提案した。この入射方式により、1入射あたりの平均粒子数を1×10^8個として、20回の多重回入射(2秒)を行うと、目標とした1×10^9個以上の粒子を蓄積することが可能と考えられる。