WEP130  加速器応用・産業利用  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
重粒子線治療用超小型超伝導回転ガントリーの開発
Development of a compact superconducting rotating-gantry for heavy-ion radiotherapy
 
○岩田 佳之,白井 敏之,水島 康太(量研機構)
○Yoshiyuki Iwata, Toshiyuki Shirai, Kota Mizushima (QST)
 
粒子線がん治療において、粒子ビームを患者に対して任意の角度から照射可能とさせる回転ガントリーは重要な装置であり、陽子線がん治療装置では標準採用されるに至っている。一方、重粒子線治療用回転ガントリーにおいては、治療で必要な重イオンビームの磁気剛性が陽子線用のそれに比べ約3倍高いことから、電磁石群やそれらを支える構造体のサイズ・重量が非常に大型となる。この問題を克服するため、我々は超伝導回転ガントリーの開発を行ってきた。超伝導回転ガントリーは平成27年9月に完成し、その後、コミッショニングを続け、平成29年5月に治療利用が開始された。超伝導化により、全長13m、ビーム軌道半径5.5m、重量約300tと従来の常電導回転ガントリーに比べ大幅な小型・軽量化を実現しているが、依然、大型の装置である。我々は重粒子線治療用回転ガントリーの更なる普及のため、超小型超伝導回転ガントリーの開発に着手した。この超小型超伝導回転ガントリーは、90度の偏向角を持つ超伝導電磁石3台から構成される。超伝導電磁石は二極・四極磁場が同時発生且つ、独立励磁可能な機能結合型とし、最大二極磁場はB=5[T]、四極磁場勾配はG=14[T/m]である。これにより、回転ガントリーのサイズは全長約5m、ビーム軌道半径4mと更なる小型化が可能となる。本発表では、超小型超伝導回転ガントリーのビーム光学設計、超伝導電磁石設計の現状に関して紹介する。