WEP110  粒子源  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
高温環境下における六ホウ化セリウム熱陰極と高融点金属の反応
Reaction between cerium hexaboride cathode and high melting-point metals in high-temperature environment
 
○渡川 和晃,稲垣 隆宏,原 徹,田中 均(理研 放射光科学総合研究センター),馬込 保(高輝度光科学研究センター)
○Kazuaki Togawa, Takahiro Inagaki, Toru Hara, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Tamotsu Magome (JASRI)
 
理化学研究所は、X線自由電子レーザー(XFEL)の為の電子源として、単結晶六ホウ化セリウム(CeB6)を熱陰極に用いた高電圧パルス電子銃を開発してきた。CeB6電子銃はXFEL施設SACLAにおいて高密度の低エミッタンス電子ビームを供給し続けているが、CeB6陰極の使用可能期間が1年程度であるといった短寿命問題を抱えていることが分かった。そして、グラファイト製のスリーブにより保持されたCeB6結晶を運転温度である1500℃の高温環境下で長期間使用すると、CeB6結晶の一部がグラファイトに侵食されてしまうことが電子顕微鏡や放射光を使った調査で明らかとなった。これが短寿命化の原因の一つであると推定し、グラファイトの代替材料として高融点金属を使用することの検討を始めた。まず、融点が2623℃のモリブデンを選択して加熱実験を行なったのであるが、CeB6結晶が自身の融点(2190℃)より700℃も低い温度で融解してしまう不可解な現象が起こった。これは、CeB6とモリブデンが高温環境下で複雑な反応を起こすことを示しており、希土類化合物と高融点金属の反応について調査、研究を行うことは陰極部品を開発する上で非常に重要であると考えた。本年会ではCeB6と高融点金属の高温環境下における反応について、実験の経緯と調査結果について報告する。