WEP086  ビーム診断・ビーム制御  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
高精度の主電磁石電流計測によるリアルタイム光学補正
Real-time optics corrections using precise measurement of the current through main magnets
 
○栗本 佳典(高エネルギー加速器研究機構)
○Yoshinori Kurimoto (High Energy Accelerator Research Organization )
 
加速器の多目的化により、目的ごとの機器へ要求が互いに相反する問題に直面することがある。J-PARC Main Ringにおける速い取り出しおよび遅い取り出し運転が良い例である。速い取り出し運転時には、できるだけ多くのビームを供給するため、ビーム取り出しの頻度は多ければ多いほどよく、急峻に粒子加速することが要求される。このため、主電磁石も急峻に励磁する必要があり、磁石に大きい電圧を印可しなければならない。一方で、遅い取り出しの場合、ビームを不安定領域にゆっくり近づけていき、横方向の振幅が大きくなったものだけを徐々に取り出していく。この遅い取り出し中に主電磁石磁場に大きな変動があった場合、不安定領域に近づき過ぎたりするため、取り出しビーム強度に濃淡ができてしまう。しかし、速い取り出しに必要な高い電圧を出せる電源は、半導体のスイッチング周波数を小さくする必要があるため、ローパスフィルターでの十分な除去が難しく、出力の電流には大きなスイッチングリップルが重畳される。これは、電流すなわち磁場の精度が要求される遅い取り出し運転には一般的には適さない。そこで著者は、主電磁石電流を高精度でモニタし、それをもとにFPGAを使ってリアルタイムで光学補正量を計算し、補正電磁石にフィードフォワードする、光学補正方法を提案する。本ポスター発表では、本方式のハードウェア構成とアルゴリズムの詳細および試験結果について報告する。