WEP077  電磁石と電源  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
J-PARCメインリング 速い取出しキッカー電磁石システムのアップグレード
Upgrades of fast extraction kicker magnet system for J-PARC main ring
 
○杉本 拓也,石井 恒次,松本 浩,芝田 達伸(高エネ研)
○Takuya Sugimoto, Koji Ishii, Hiroshi Matsumoto, Tatsunobu Shibata (KEK)
 
J-PARC加速器メインリング (MR)では、5台のキッカー電磁石と6台のセプタム電磁石を用いて、30GeVにまで加速した8つの陽子バンチを、長基線ニュートリノ振動実験T2Kのニュートリノ生成ターゲットに向けて速い取出しをしている。MRのビームパワーの目標値は750kWである。そのためには、2.0x10^14個の陽子を1.3秒の繰り返し周期で出力する必要があり、MR用出射電磁石系の改修が進行中である。本発表では、その中でも速い取り出しキッカー電磁石変調器電源のアップグレードについて報告する。変調器は、60段のPFL(1段あたりの静電容量20nF)から構成される。現行電源では、市販の高圧充電器を用いて、1.8秒間かけて定格の33kVに充電している。今回のアップグレードでは、より短い繰り返し周期に対応するため、300ミリ秒で定格充電可能な充電器を導入した。また、このキッカー電磁石は、ビームインターロック事象が発報した際の、ビームアボート用取出しキッカー電磁石としての役割も担っているため、任意のタイミングでビームを蹴り出せるよう、充電電圧をフィードバック制御して加速パターンに追従する機能を充電器に実装した。本発表では、2017年以前に実施したアップグレードの詳細と、2017年に実施した実機を用いた充電器の性能評価について報告する。