WEP067  電磁石と電源  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
アボートキッカー電源の回路2重化による信頼性の向上
Improvement of reliability by duplicating circuits of abort kicker power supplies
 
○黄瀬 圭祐,徳地 明(株式会社パルスパワー技術研究所),三増 俊広(高エネルギー加速器研究機構)
○Keisuke Kise, Akira Tokuchi (Pulsed Power Japan Laboratory Ltd. (PPJ)), Toshihiro Mimashi (High Energy Accelerator Research Organization (KEK))
 
スーパーKEKB用のアボートキッカーは水平方向キッカーマグネットと垂直方向キッカーマグネットから構成され、水平方向キッカー電源で200ns以下の急峻な立ち上がりで水平方向にビームをキックしたのち、その水平位置で垂直方向に10μsかけてゆっくりビームを散らしていくものである。水平キッカー電源の立上り時間を急峻にする分、アボートギャップは狭くなり、リングに多数のバンチを収納することが可能となり、加速器の利用率は向上する。KEKBではこの水平の立上り時間は500nsだったが、スーパーKEKBでは200ns以下に短縮されている。 この水平、垂直のアボートキッカー電源は加速器が運転中は常時高圧充電状態で待機し、必要な時に間違いなくパルスを放出する必要があり、加速器電源システムの中でも最も高い信頼性が要求される電源である。 放電指令に基づき、急峻な電流を流し始めた瞬間に、高圧コンデンサなどがパンク事故を起こすと、正常にビームがアボートされなくなり、加速管に損傷を与えたり、不要な放射能を発生する可能性がある。 我々は、従来1台だった垂直用キッカー電源を2台に分割し、それぞれの出力を足し合わせる回路構成に変更した。これにより、万一一台の高圧発生部が高圧発生中に故障を起こしても、もう一台の電源で電流を流すので、少なくとも半分の電流を確保する事ができ、安全にビームをアボートすることを可能とした。