WEP066  LLRF  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
SACLAとSPring-8蓄積リングの高周波基準信号の同期システム その2
Synchronization system between two master oscillators of SACLA and SPring-8 storage ring 2
 
○大島 隆,細田 直康,前坂 比呂和(理研)
○Takashi Ohshima, Naoyasu Hosoda, Hirokazu Maesaka (RIKEN)
 
SPring-8の次期計画SPring-8-IIでは入射ビームに低エミッタンスが要求されるため、XFELマシンであるSACLAを入射器とする予定である。この計画の準備段階として、また、消費電力抑制を目的として、SACLAを現蓄積リングへの入射器として前倒しして使用するための準備を進めている。SACLAの入射トリガは、商用60Hz信号 (f60)と、蓄積リングの入射目標とするバケットの周回周波数208kHz (frev)、およびSACLAのタイミング基準周波数238MHz (f238) の3つが同期したタイミングで発生させる。しかし、frevとf238は位相同期してはいないため、最大f238の周期である4.2nsの時間差が発生する。この時間差を、SACLAのマスタオシレータにFM変調を印加することで解消することを検討している。この方法を試みたところ、大きな周波数変調をかけたときにSACLAの実験で使用する同期レーザーのロックが外れることがわかった。そこで、適当な周回数だけ待つことでfrevとf238の時間差を小さくし、周波数変調量を低く抑えることとした。実際、f238はfrevの1周期後にはfrevとの時間差が-0.1nsだけ変化する関係があるので、マスタトリガのタイミングを最大4.2ns/0.1ns=42周期だけ遅延させることで時間差を0.1ns以下にできる。MTCA.4 規格のdigitizerのFPGAに上記のプロセスをコーディングし、試験を行い、想定した動作を確認できた。本発表では上記タイミング同期システムの現状と今後の展望について報告する。