WEP062  高周波源  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
SACLAでのサイラトロンの劣化診断と対策
Degradation diagnosis and countermeasure of thyratron at SACLA
 
○中澤 伸侯,益田 邦和(スプリングエイトサービス(株)),稲垣 隆宏,近藤 力,大竹 雄次(理化学研究所/SPring-8)
○Shingo Nakazawa, Kunikazu Masuda (SES), Takahiro Inagaki, Chikara Kondo, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center)
 
X線自由電子レーザー施設SACLA及びSCSSでは79台のモジュレータ電源を使用しており、サイラトロンのスイッチングによりクライストロンへの高電圧パルス供給を行っている。現在、主に使用しているE2V社製CX1836サイラトロンは、使用開始から16,000時間前後から、タイミングのドリフトや導通ロスの変動によるクライストロン出力の位相変動や、サージ電圧増大によるトリガ回路の損傷などのトラブルが発生し始める。 このようなトラブルを起こすまでの劣化の進行速度とその症状の出方に個体差が大きく、我々が高価なサイラトロンを運転への影響を与えずに寿命まで使い切るためには、個々の診断と処置が不可欠である。このため我々は、使用時間やクライストロン出力の位相変動といった常時記録しているデータと、トリガ回路に設置した分圧回路を使用して測定したトリガグリッドの残留電圧とサージ電圧の確認を組み合わせた診断を定期的に実施している。 この診断結果を基に、導通ロス変動対策としては計画的な交換、サージ電圧抑制としてはフィルタ回路の導入、及びG1トリガパルス幅延長といったハードの対策を、劣化が進行する前に行なっている。  この対策は効果を上げ、運転への影響を低減し、なおかつメーカの想定している寿命以上にSACLAではサイラトロンを使用出来ている。 本発表では、これまでに行ってきた診断の手法とトラブルへの対策について報告する。