WEP037  高周波加速構造  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
SuperKEKB Phase-1における超伝導空洞の運転状況とSiCダンパーの開発
Operation status of superconducting accelerating cavity and development of SiC damper for SuperKEKB
 
○西脇 みちる,赤井 和憲,可部 農志,古屋 貴章,光延 信二,森田 欣之(高エネ研)
○Michiru Nishiwaki, Kazunori Akai, Atsushi Kabe, Takaaki Furuya, Shinji Mitsunobu, Yoshiyuki Morita (KEK)
 
SuperKEKB加速器では、2016年2月から6月までビームコミッショニング運転(Phase-1)が実施され、電子リングで870 mA、陽電子リングで1010 mAの蓄積電流に達し、無事に運転を終えた。電子リングでは、8台の超伝導加速空洞が運転に用いられている。ヘリウム冷凍機システムを含め、超伝導空洞システムは、KEKB加速器からの再利用である。2010年からの運転停止期間中には、横型高圧水洗浄による空洞性能回復や老朽化機器の更新等を実施し、SuperKEKBでの運転再開に備えた。2015年11月から常温カプラーエージングを開始し、2016年2月に5年半ぶりに空洞を冷却して空洞エージングを実施し、ビーム運転を行った。約4ヶ月のビーム運転中には、老朽化対策のため更新したピエゾアクチュエータを用いた周波数チューナーに問題が発生したが、超伝導空洞に起因するビームアボートは9回でありKEKB加速器と同様の安定した運転が実現できた。 SuperKEKB加速器の電子リングのデザインビーム電流は2.6 Aであり、超伝導空洞ではKEKB加速器の2倍以上のHOMパワーが発生するため、対策としてSiCを用いたHOMダンパーを空洞後方に設置する。まず試験機を1セット製作し、2018年1月からのPhase-2の運転にてビーム試験を実施する予定である。 本稿では、超伝導空洞の性能回復とPhase-1での立ち上げや運転状況、SiC製HOMダンパーの開発について報告する。