WEP035  ビームダイナミクス・加速器理論  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
SuperKEKB LER電子雲効果抑制のための永久磁石
Permanent magnets for suppressing the electron cloud effects in the SuperKEKB LER
 
○末次 祐介,福間 均(高エネ研)
○Yusuke Suetsugu, Hitoshi Fukuma (KEK)
 
2016年2月-6月のSuperKEKB Phase-1運転時、陽電子リング(LER)において、ビーム電流約600 mAから、垂直方向ビームサイズ増大等、電子雲不安定性(ECE)が観測された(3 RFバケット間隔、1576バンチ)。原因はリングに約820個設置されたアルミ合金製ベローズチェンバー部の電子雲によるものであった。運転期間中、すべての当該ベローズチェンバーにビーム方向に約100 Gの磁場を形成する永久磁石ユニット(鉄ヨーク+φ30永久磁石16個)を取り付けた結果、このECEは緩和された。しかし、ビーム電流約900 mA以上蓄積時にECEが再度観測された。ドリフト部のビームパイプ内の電子雲が原因の一つと考えられた。次期Phase-2運転はビーム電流1 A以上となるため、その運転開始前にドリフト部にも永久磁石ユニットを取付けることにした。この永久磁石ユニットはビームパイプに沿って一定の間隔で配置され、ビーム方向に約60 Gの磁場をつくる。永久磁石をベローズチェンバーやドリフト部ビームパイプへ取り付けた時の、ビームパイプ内の電子密度分布はシミュレーションコードCLOUDLANDで解析され、ビーム中心付近の密度は磁場無しの場合に比べて、設計ビームパラメータでも1/50程度まで下がると予想された。本講演では、設置した永久磁石の構造、それによる電子雲抑制効果およびシミュレーション結果を報告する。