WEP032  ビームダイナミクス・加速器理論  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
炭素線用ガントリーによる治療照射に向けたビームコミッショニング
Beam commissioning for carbon-ion radiotherapy by a rotating gantry
 
○藤本 哲也(加速器エンジニアリング),岩田 佳之,藤田 敬,佐藤 眞二,白井 敏之(放医研)
○Tetsuya Fujimoto (AEC), Yoshiyuki Iwata, Takashi Fujita, Shinji Sato, Toshiyuki Shirai (NIRS)
 
粒子線治療において回転ガントリーは治療計画の柔軟性の向上、患者負担の軽減が期待できる重要なツールである。放射線医学総合研究所では超伝導電磁石を用いた炭素線回転ガントリーを開発し、治療照射への利用に向けて2015年10月以降ビームコミッショニングを進めてきた。放医研回転ガントリーコースでは精密なビームコントロールが要求される3次元高速スキャニング法による治療照射が行われる。そのためアイソセンターにおいてガントリー角度に依らず一定のスポット形状を得ることが重要である。その実現のため散乱体法によるエミッタンス整合を考慮したビーム輸送ラインの光学設計が行なわれ、それを元にエネルギー範囲430 ~ 48 MeV/u(202エネルギー段)、360角度に対してビームコミッショニングを進めてきた。ビームコミッショニングではアイソセンターにおけるスポットサイズや形状をエネルギー毎に目標値に調整するだけでなく、スポット位置の再現性および時間変動の抑制、最大照射野の確保などスキャニング照射に要求される様々な条件を満たすように進められた。その結果、スキャニング照射の要求仕様を満たすビーム品質を得ることに成功し、2017年5月に回転ガントリーによる初めての治療照射が行われた。本発表では炭素線回転ガントリービームコミッショニングの結果、コミッショニング中に生じた問題点および解決策について報告する。