WEP027  ハドロン加速器  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
荷電変換薄膜を用いた荷電変換ビーム多重入射に由来する放射化の抑制に向けた取り組みと課題
Struggle to suppress radio-activation due to multi-turn charge exchange beam injection with stripper foil and its issues
 
○吉本 政弘,加藤 新一,岡部 晃大,原田 寛之,金正 倫計(原子力機構/J-PARCセンター)
○Masahiro Yoshimoto, Shinichi Kato, Kota Okabe, Hiroyuki Harada, Michikazu Kinsho (JAEA/J-PARC)
 
MW級の大強度陽子ビームの利用運転を実現するためには、機器の放射化の抑制が重要な課題となる。J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS)では、入射直線部にコリメータシステムを導入しビーム損失を局所化することでそれ以外の機器の放射化を抑制する思想で設計されている。しかし、コリメータ部の他に荷電変換薄膜の周辺部においてきわめて高い残留線量が観測されている。これまでの詳細な残留線量分布測定とPHITSを用いたシミュレーション結果から、この放射化の原因はビーム入射期間中に入射ビーム及び周回ビームの荷電変換薄膜への衝突による核反応によって生成された2次粒子(陽子及び中性子)であると強く示唆されてきた。さらに詳細な調査を進めるべく、Ge半導体検出器を用いた放射化分析を実施し、2次粒子による影響評価を行った。また入射部機器の放射化抑制を実現するために、周回ビームの薄膜への衝突回数を減らすことで2次粒子の発生を抑制する努力を続けてきた。同時に衝突回数を計測するための新たなビーム損失モニタの開発も行った。本発表では放射化分析による2次粒子の影響評価と薄膜への衝突回数の減少による放射化抑制について報告する。また現在100度ダンプラインに新たに設置を計画している薄膜からの2次粒子測定を目的とした荷電変換薄膜ビーム照射装置についても報告する。(本研究はJSPS科研費 JP16K05027の助成を受けたものである。)