WEP006  電子加速器  8月2日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
CsK2Sbフォトカソード性能の基板依存性
Substrate dependence of CsK2Sb photo-cathodes performance
 
○郭 磊,栗木 雅夫(広島大学大学院 先端物質科学研究科),根岸 健太郎(岩手大学)
○Lei Guo, Masao Kuriki (Graduate School for Advanced Sciences of Matters, Hiroshima University), Kentaro Negishi (Iwate University)
 
電子ビーム利用の高度化にともない、短パルス性、コヒーレンス、 低エミッタンス、高いスピン偏極など、高性能電子ビーム源が求められている。短パルスレーザーとフォトカソードによる電子ビーム生成はこのような要望にこたえるものとして、注目されている。 CsK2Sbは多アルカリ陰極の一つであり、低エミッタンス、高耐久性、高量子効率など、最先端光源である連続大電流FEL(Free Electron Laser)などの実現に必要な、多くの特長を持っている。CsK2Sbカソード性能は、基板の表面状態(酸化など)に依存することはよく知られている。この結果は、基板材料やその他の特性がカソード性能に影響することを示唆している。本研究では、カソード性能の基板材料および面方位依存性に注目し、Si(100)、Si(111)、GaAs(100)基板に生成したカソード性能を評価した。結果、すべての材料において、cleaned表面に生成したカソードの性能は、as-received表面に生成したものに比べて高い性能を示した。また、Si(111)面上に生成したカソード は、Si(100)及びGaAs(100)基板上に生成したカソードに比べて有意に性能が劣っていることを確認した。この成果は、世界で始めてカソード性 能が結晶基板の面方位に依存することを示したものであり、電子加速器を使用した物理研究全体に、相応のインパクトが期待される。