WEOM07  粒子源/真空  8月2日 小講堂(1F) 11:00 - 11:20
CsK2Sbマルチアルカリカソードの高耐久性の実証
Experimental evidence of the high robustness of CsK2Sb multi-alkali cathode
 
○栗木 雅夫,横田 温貴,浦野 正洋,郭 磊(広島大学先端研),根岸 健太郎(岩手大学理工学部),清宮 裕史(高エネ研加速器)
○Masao Kuriki, Atsutaka Yokota, Masahiro Urano, Lei Guo (AdSM, Hiroshima University), Kentaro Negishi (Dept. of Science and Engineering, Iwate University), Yuji Seimiya (Accel. lab, KEK)
 
CsK2Sbマルチアルカリカソードは真空中で薄膜生成される光電陰極物質である。固体レーザーの二倍波による緑色光で励起可能で、かつ10%以上と高い量子効率をもつことから、大電流かつ低エミッタンスの高品質ビームを供給する高性能電子源として期待されている。本発表では、CsK2Sbマルチアルカリカソードにレーザーを照射し、その量子効率の時間的、そして引き出し電荷量についての変化を観測した。その結果、時間的には3500時間というきわめて長い1/e寿命を実証した。また、電荷密度については、28000 C/mm^2という、これもきわめて長い1/e寿命を実証した。また、各々の寿命は真空圧力に逆比例し、残留ガスの吸着、およびイオン逆流による劣化が支配的あることを示唆している。バイアス電圧を上昇させると、電荷密度寿命は上昇することが観測された。この結果は、イオン化断面積の電圧依存性により、矛盾なく説明することができ、電荷密度寿命のイオン逆流仮説を支持する結果である。発表では実験および結果についての詳細、その解釈について説明する。