TUP137  加速器応用・産業利用  8月1日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
中性子反射率法を用いた金属磁性体コア防水膜の構造解析
Structural study of waterproof thin-layers for the magnetic alloy core by neutron reflectivity
 
○阿久津 和宏,佐原 雅恵(総合科学研究機構),新関 智丈,永山 紗智子,長谷川 良雄(アート科学),吉井 正人(KEK),下村 昭夫(下村漆器店)
○Kazuhiro Akutsu, Masae Sahara (CROSS), Tomotake Niizeki, Sachiko Nagayama, Yoshio Hasegawa (ART KAGAKU), Masato Yoshii (KEK), Akio Shimomura (Shimomurashikkiten)
 
J-PARCメインリングの加速器空胴に用いられる金属磁性体カットコアは、J-PARC陽子加速システム性能を飛躍的に高めるための重要な役割を担っている。本磁性体コアは水冷方式により冷却されているため、perhydropolysilazane (PHPS) 表面シリカコーティングによる防錆加工を施し、腐食劣化を抑制している。PHPSは簡易かつ効率的にコーティング膜を形成できる優れた材料であるが、そのコーティング膜の成膜メカニズムに関する詳細は明らかとなっていない。本研究では、様々な基板材料の上にPHPSコーティング膜を作製しその膜構造を中性子反射率法により調べることで、PHPS成膜メカニズムを考察した。 中性子反射率の測定は、J-PARC MLF BL17に設置された偏極中性子反射率計「写楽」で行った。中性子反射率データ解析の結果、基板材料が変わるとPHPS膜の厚みと密度は大きく変化することが見出された。特に、Feなどの金属材料上に成膜したPHPS膜は密度が低くなる傾向があり、コーティングされる材料とPHPSの間の親和性の違いがPHPS膜の構造に影響を及ぼしているものと考えられる。発表では、中性子反射率解析結果の詳細について示しながら、PHPS成膜メカニズムについて詳しく議論する。