TUP129  加速器応用・産業利用  8月1日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
電子ビームの傾き角制御によるコヒーレントテラヘルツ光の生成と性質の評価
Generation and evaluation of coherent terahertz waves using tilted electron beams
 
○ブラメルド 真理,柳沢 稜,蓼沼 優一,鷲尾 方一(早稲田大学理工学術院総合研究所),坂上 和之(早稲田大学高等研究所),黒田 隆之助,平 義隆(産業技術総合研究所)
○Mari Brameld, Ryo Yanagisawa, Yuichi Tadenuma, Masakazu Washio (Waseda Univ. Research Institute of Science and Engineering), Kazuyuki Sakaue (Waseda Univ. Institute for Advanced Study), Ryunosuke Kuroda, Yoshitaka Taira (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)
 
相対論的速度の電子ビームをターゲット媒質に照射するとチェレンコフ放射によってテラヘルツ光が生成される。チェレンコフ放射は電子ビームの進行方向と異なる角度で放射され、電子ビームをこの角度に傾けることでコヒーレントに放射させることが可能である。この角度はターゲット媒質の屈折率によって異なるため、用いる媒質によって電子ビームの傾き角を制御する必要がある。 早稲田大学ではCs-TeフォトカソードRF電子銃を使用した高品質電子ビームの生成についての研究を行っている。電子ビームのバンチ長計測用に開発された高周波偏向空洞を応用することで、傾き角を制御することが可能である。電子ビームの傾き角をチェレンコフ放射と一致させることでテラヘルツ光強度を増大することに成功した。また、周波数スペクトルの測定や、イメージング応用にむけた空間分解能測定を行うことで生成されたテラヘルツ光の性質の評価も行った。さらに、テラヘルツ光を生成するにあたりターゲット媒質にTOPASと呼ばれる高分子材料を用いているが、各種ターゲット媒質を導入してテラヘルツ光の生成を試みた。媒質によって異なるチェレンコフ放射角や飛程距離を検討し、テラヘルツ光強度を比較検討した。これらの測定結果は今後のTHz光源の高強度化に向けての重要な指針となる。 本発表ではRF電子銃を用いたコヒーレントテラヘルツ光の生成の原理とその特性評価結果及び今後の展望について報告する。