TUP119  真空  8月1日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
SuperKEKB真空システムの近況 - Phase-2運転に向けて -
Recent status of SuperKEKB vacuum system - updates toward Phase-2 commissioning -
 
○末次 祐介,柴田 恭,石橋 拓弥,白井 満,照井 真司,金澤 健一,久松 広美(高エネ研)
○Yusuke Suetsugu, Kyo Shibata, Takuya Ishibashi, Mitsuru Shirai, Shinji Terui, Ken-ichi Kanazawa, Hiromi Hisamatsu (KEK)
 
SuperKEKBは2016年2月から6月にかけてPhase-1運転を行い、主リングでは約1 Aのビーム蓄積に成功した。この運転の間、真空システムは概ね順調に稼働した。運転中の圧力も予定通り下がり、また、新規に採用した機器もほぼ問題なく稼働した。しかし一方、ビーム電流が増える次期Phase-2運転向けて様々な課題も見つかった。例えば、陽電子リングでは、電子雲不安定性対策として建設時に採用したアンテチェンバー付きビームパイプやその内面の窒化チタン(TiN)コーティングの効果は確認されたものの、運転終盤にビーム電流約900 mA以上で電子雲不安定性が観測された。また、ビームパイプ内のダスト粒子とビームとの衝突が原因と考えられる、ビームロスを伴う圧力のバースト(突出)が観測された。さらに、ウィグラー部では、一部のビームパイプやフランジにおいて、放射光照射による軌道に依存した温度上昇も確認された。その他、ビーム衝突が原因と思われるフランジからの大気リーク等もあった。現在、これらの問題について、ビームパイプに永久磁石を使ってビーム方向の磁場を印加する、運転前にビームパイプ内のダストを衝撃で振り落とす、ウィグラー部に放射光マスク付のベローズチェンバーを設置するなどの対処を行っている。本講演では、Phase-1で確認された様々な課題と、Phase-2に向けたそれらへの対応策についてまとめる。