TUP118  真空  8月1日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
SuperKEKB LERウィグラー部電子クリアリング電極の特性
Properties of electron clearing electrodes in the SuperKEKB LER wiggler sections
 
○末次 祐介,福間 均,飛山 真理,石橋 拓弥,照井 真司(高エネ研)
○Yusuke Suetsugu, Hitoshi Fukuma, Makoto Tobiyama, Takuya Ishibashi, Shinji Terui (KEK)
 
SuperKEKB陽電子リング(Low Energy Ring, LER)では、電子雲不安定性対策として、ウィグラー部に長さ1670 mm、幅40 mmの電子クリアリング電極を計116本装備している。2016年2月~6月間のPhase-1運転時には、電極にDC500Vを印加し、ビーム電流約1 Aにて安定に動作した。運転中、電極に流れる電流(電極電流と呼ぶ)および近傍圧力のビーム電流依存性、電極電圧依存性を測定した。ウィグラー電磁石内にあるビームパイプ内の電子密度や電極電流について、シミュレーションソフトCLOUDLANDを使って解析を行い、測定結果と比較検討した。電極電流の電極電圧依存性はシミュレーション結果と良く一致した。すなわち、約100 Vまでは電極電圧とともに増大するがそれ以上の電圧ではほぼ一定となった。シミュレーション結果から、これは高い電極電圧では電極電流がほぼ光電子による電流になるためとわかった。また、電極電流のビーム電流依存性は、電源の測定電流のバイアス、およびビームに起因して電極に流れるDC電流成分の補正を加えると測定結果と良く一致した。電極電流の大きさも、長いウィグラー部での放射光の散乱を考慮すると測定値に近い値となった。講演では、電子クリアリング電極に関する測定結果とシミュレーション結果を比較検討し報告する。