TUP090  ビーム診断・ビーム制御  8月1日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
複数BPMによる横方向フィードバックの安定化とその特性
Stabilization of high gain transverse feedback by multiple BPMs
 
○中村 剛(高輝度光科学研究センター)
○Takeshi Nakamura (JASRI)
 
横方向(ベータトロン振動) に対するフィードバックは、ビーム不安定性の抑制や、入射時のビーム振動の素早い減衰に用いられている。通常、このようなフィードバックでは、リングの一つのビーム位置モニタ(BPM)のターン毎のビーム位置の履歴から必要なキックを計算し、それをビームに与えて振動を減衰させている。しかし、この履歴には、フィードバックのキックの影響による位置の変動が含まれているのでフィードバックが発生したキックをフィードバックが検知するというループが生じ、高い減衰率で駆動する際には安定性を悪化させ、外乱に対するビームの脆弱性や、ビームの振動を励起する[1]。これに対して、複数個のBPMを用いて1ターンでの複数のビーム位置からキックを計算することによりこのループを除去する手法を提案し、シミュレーションを用いて有効性を示した[1]。アナログフィードバックでは、2つのBPMを用いてキックを発生させているが、ここではデジタル信号処理により、アナログフィードバックでは困難な、多数のBPMを用いての低ノイズ化や飽和をもたらすBPMのビーム振動成分以外の信号の除去の手法を示す。論文[1]では特性を示すためにシミュレーションを用いたが、ここではこれを解析的に扱い、また、より詳細な検討を行う。 [1] 中村剛, "横方向フィードバックの安定性の解析と複数BPMによるその向上", 19aAQ-4, 日本物理学会講演概要集 71(1), 556, 2016-03-19.