TUP089  ビーム診断・ビーム制御  8月1日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
SPring-8線型加速器BPM用バンドパスフィルタのバンド幅についての考察
Study on bandwidth of bandpass filter used for SPring-8 linac BPM
 
○柳田 謙一,鈴木 伸介,花木 博文(公益財団法人高輝度光科学研究センター)
○Kenichi Yanagida, Shinsuke Suzuki, Hirofumi Hanaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute)
 
SPring-8線型加速器のビーム位置モニタでは、4台(or 6台)のバンドパスフィルタ(BPF)を使用した平行信号処理が行われる。2000年頃に複数のBPFを用いて試験した結果、4台あるBPFのバンド幅にばらつきがある場合、ビームのマクロバンチ幅(長手方向時間幅)に依存して観測されるビーム位置がずれる事が判明していた(本年会別発表参照)。実際に製作したBPFでは、中心周波数は2856±0.01MHzに揃える事が出来たが、バンド幅は9.7±0.4MHz(標準偏差)とばらつきが大きく、空胴の機械加工精度(0.1%程度)では説明が付かなかった。BPFは同軸構造を有する2つの共振空胴から成る。各空胴には入力と出力の結合ループがあり、1段目の出力ループが2段目の入力ループに繋がる。BPF構造を詳細に解析し、LCR直列共振回路の等価回路を描き、周波数領域でのCW入出力特性を解析し、入力に対する出力の減衰率及び位相の遅れ・進みを表す式を導出した。その式は測定とほぼ一致することを確認した。また、バンド幅に影響を与える支配的な要因は各空胴入出力ループの幾何学的寸法である事が判明した。共振空胴内の入出力ループ形状は0.75(W)x10(H)mm程度の矩形であり、仮に4つあるWが0.05mm大きくなった場合、バンド幅が1.3MHz増加する関係になっている。各空胴の入出力ループに関して、製作誤差(ばらつき)が最小となる設計を行い、製作を行う事によりバンド幅のばらつきを抑えることが可能と思われる。