TUP031  ハドロン加速器  8月1日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
TIARA AVF サイクロトロンの取出しビームに対する中心領域の位相バンチングの効果
Effect of phase bunching of the central region on extracted beam from the TIARA AVF cyclotron
 
○宮脇 信正(量研 高崎),福田 光宏(大阪大学 核物理研究センター),倉島 俊,柏木 啓次(量研 高崎)
○Nobumasa Miyawaki (QST Takasaki), Mitsuhiro Fukuda (RCNP, Osaka Univ.), Satoshi Kurashima, Hirotsugu Kashiwagi (QST Takasaki)
 
従来、サイクロトロンの入射ビームラインに設置されたバンチャーでイオン源からのDCビームをバンチングするのが一般的であったが、TIARAサイクロトロンでは更に、最初の加速ギャップ通過時の時間差で生じるエネルギー利得の差によって、次の加速ギャップでのビームバンチの時間幅を縮小させる位相バンチング法を実現し、ビームの高品質化と透過効率向上に成功した。位相バンチングの発生条件は、ディー電極の開き角やプラー電極の位置等の幾何学的条件と入射ビームのエネルギーと加速電圧の関係や加速ハーモニックス(h)等の加速条件で決まる。TIARA AVFサイクロトロンのh=1と2の中心領域の幾何学的条件は等しいが、位相バンチングはh=2では発生し、h=1では発生しないことをサイクロトロン内部での測定と幾何学的理論モデルにより実証した。今回、位相バンチングの取出しビームに対する効果を明らかにするため、取り出し前後のビームの透過効率やエミッタンスを測定した。入射前のバンチャーを使用した場合、h=2が97%、h=1が43%、バンチャーを稼働しない場合、h=2が67%、h=1が21%であった。またh=2の水平方向エミッタンスは、h=1の約1/3となり、位相バンチングは取り出しビームの質の向上に寄与していることを示した。本発表では、位相バンチングの発生原理とモデル計算及び測定結果について報告する。