TUP026  ハドロン加速器  8月1日 第1,2,3,4会議室他 13:00 - 15:00
超冷中性子リバンチャー改良機による UCN 時間集束
Time focus of ultracold neutrons by improved ultracold neutron rebuncher
 
○今城 想平(名大理),岩下 芳久(京大化研),三島 賢二(KEK),北口 雅暁,清水 裕彦(名大理),猪野 隆(KEK),山下 了(東大ICEPP),広田 克也,後藤 文也(名大理),不破 康裕(京大炉),片山 領(京大化研)
○Sohei Imajo (Dep. of Phys., Nagoya Univ.), Yoshihisa Iwashita (ICR, Kyoto Univ.), Kenji Mishima (KEK), Masaaki Kitaguchi, Hirohiko. M Shimizu (Dep. of Phys., Nagoya Univ.), Takashi Ino (KEK), Satoru Yamashita (ICEPP, Univ. of Tokyo), Katsuya Hirota, Fumiya Goto (Dep. of Phys., Nagoya Univ.), Yasuhiro Fuwa (KURRI), Ryo Katayama (ICR, Kyoto Univ.)
 
我々はJ-PARCにおいて中性子の電気双極子能率(EDM)を探索する実験を計画している。中性子EDMの探索は運動エネルギーを200neV以下に減速させた超冷中性子(UCN)を小容器に貯蔵して行うため、体積密度の高いUCNが必要とされる。J-PARCの陽子ビームは極めて大きなピークパワーを持つが繰り返し周波数が低いために時間平均では生成されるUCNの体積密度が低下し、そのピークパワーの大きさを十分に利用できない。そこで我々は、中性子の運動エネルギーを輸送中に約100neVの範囲で減速・制御し、実験容器地点にUCNを時間的に集束させる中性子加速器「超冷中性子リバンチャー」を開発した。本装置は静磁場勾配中でポテンシャルエネルギーを得たUCNに高周波磁場を印加し、AFP-NMR法によってそのスピンを反転させ静磁場通過前後の中性子の運動エネルギーに収支差を生じさせることで中性子を加減速する。勾配磁場全域に高周波磁場を印加し、その周波数をスイープさせることで共鳴点の位置を移動させ、任意の大きさの運動エネルギー制御を実現する。2011年に原理実証実験を成功させた我々は、運動エネルギーの制御幅を拡大し減速のタイミング調整を最適化した2号機を開発し、本年4月にJ-PARC/MLFにおいて、原理実証実験時の1/5程度にピーク時間幅が鋭くかつリバンチャー未使用時と比して2.3倍の計数率上昇を伴う集束ピークの発生を確認した。本発表ではこの実験および解析結果について報告する。