TUOM03  電磁石と電源1  8月1日 小講堂(1F) 16:00 - 16:20
SACLA高速振り分け電磁石用の大電力・高精度パターン電源の開発
High power and high precision pattern power supply of kicker magnet at SACLA
 
○近藤 力,原 徹,福井 達,稲垣 隆宏,大竹 雄次,田中 均(理研 放射光科学研究センター),深見 健司(高輝度光科学研究センター/理研 放射光科学研究センター),中澤 伸侯(スプリングエイトサービス),川口 祐介,川口 秀章(ニチコン草津)
○Chikara Kondo, Toru Hara, Toru Fukui, Takahiro Inagaki, Yuji Otake, Hitoshi Tanaka (RIKEN SPring-8 Center), Kenji Fukami (JASRI / RIKEN SPring-8 Center), Shingo Nakazawa (SPring-8 Service), Yusuke Kawaguchi, Hideaki Kawaguchi (Nichicon Kusatsu)
 
X線自由電子レーザー施設SACLAでは、複数のビームラインにおけるXFEL実験が計画され、2014年より従来のビームライン(BL3)に加えて、第二ビームライン(BL2)でのビーム運転を開始した。しかし、このBL2への輸送ビームラインでは、コヒーレント放射光(CSR)効果によりビーム軌道やバンチ形状が不安定になった。そこで輸送ラインを、CSR効果を打ち消せるようDouble Bend Achromatかつ対称的な光学系に改造した。この改造により、初段のキッカー電磁石におけるビーム偏向角は従来の0.5°から1.5°へ増加し、また偏向磁場には軌道安定化のため10ppm(pk-pk)という高い安定度が要求された。そこで、従来の約6倍のインダクタンスを持つキッカー電磁石と、同じく約6倍の電力容量のパターン電源を開発した。この電源は、最大±299Aの台形状のパターン電流を60Hzで出力し、更にフィードバック制御により平坦部の電流を高精度で整定する。また、大電力化に伴う熱損失の増大や筐体の大型化を抑制するため、高電圧かつ高速スイッチングが可能なSiC MOSFETを用いることや、1A以下の小電流出力でも高精度で安定化できるよう、バイパス回路を用いるなどの新技術を導入した。本電源により磁場安定度は10ppm(pk-pk)を達成した。そしてBL2/BL3の高速ビーム振り分け運転では両ビームラインでのXFEL発振に成功した。