TUOL08  高周波加速構造2/高周波源  8月1日 講堂(2F) 17:50 - 18:10
SACLA油密閉型モジュレータに用いる50kV半導体スイッチの開発
Development of a 50 kV solid-state switch for an oil-filled klystron modulator in SACLA
 
○稲垣 隆宏,近藤 力,大竹 雄次(理化学研究所 放射光科学総合研究センター),安積 隆夫(高輝度光科学研究センター/理化学研究所 放射光科学総合研究センター),益田 邦和(スプリングエイトサービス),徳地 明,天神 薫,木田 保雄(パルスパワー技術研究所)
○Takahiro Inagaki, Chikara Kondo, Yuji Otake (RIKEN SPring-8 Center), Takao Asaka (JASRI / RIKEN SPring-8 Center), Kunikazu Masuda (SPring-8 Service), Akira Tokuchi, Kaoru Tenjin, Yasuo Bokuda (Pulsed Power Japan Labo.)
 
X線自由電子レーザー施設SACLAでは、クライストロン駆動用に絶縁油密閉型のモジュレータを79台使用している。モジュレータでは、高電圧スイッチ素子としてサイラトロンを使用しているが、経年劣化による変動や故障がしばしば加速器の運転を中断し、また寿命が短く毎年10本から20本の交換を行うことが問題となっている。そこで、経年変化が少なく長寿命の半導体素子を用いた高電圧スイッチを開発し、サイラトロンに置き換えることを目指した。 高電圧スイッチには、50kVに充電されたPFN回路のコンデンサを数100ns以内に短絡し、5kA、5μsあるいは3kA、8μsのパルス電流を流す動作を、60ppsの繰り返しで行うことが要求される。半導体素子には、3.2 kVの高耐圧かつ許容電流が大きく、高速に導通でき損失が少ない静電誘導型サイリスタ素子を用い、これを24直列8並列に構成したものを高電圧スイッチとした。放熱性を高めるため、素子をアルミ製のヒートシンクに固定し、絶縁油をヒートシンク内で強制対流させている。我々は昨年、スイッチの試作機を完成させ、モジュレータに実装して60ppsにて47時間の運転試験を行った。試験では、高電圧パルス出力も上記の仕様を満足し、内部部品の温度も問題ないことを確認した。その後はLバンド高周波機器の試験にもこのスイッチを使用し、これまで700時間以上の運転を問題なく行っている。