TUOL05  高周波加速構造2/高周波源  8月1日 講堂(2F) 16:50 - 17:10
Cバンド20K冷却高電界RF電子銃による高品質電子ビーム引き出しの可能性
Possibility of high quality electron beam extraction by high electric field in C-band 20-K cooled RF gun
 
○田中 俊成,境 武志,早川 建,早川 恭史,野上 杏子,住友 洋介,山田 靖征,吉田 昂斗,佐藤 勇(日大電子線利用研究施設)
○Toshinari Tanaka, Takeshi Sakai, Ken Hayakawa, Yasushi Hayakawa, Kyoko Nogami, Yosuke Sumitomo, Yasuyuki Yamada, Takato Yoshida, Isamu Sato (LEBRA, Nihon University)
 
高周波空洞で発生する電界の実用限界に関してはこの数年間で大きな進展が見られ、KEK、SLAC、CERNを中心としたXバンド加速管の開発においては、100MV/mを超える加速電界が実現している。これらは常温空洞での成果であるが、SLACにおける放電頻度の実験から、低温冷却空洞ではさらに高電界が期待できることが示唆されている。これは空洞表面における放電頻度に関して提唱されている、電界による金属結晶内転移移動に基づくモデルとも定性的に一致する。日大ではKEKとの共同研究により、Cバンド・5712MHzのクライオ光陰極高周波電子銃の研究を進めてきたが、これまでに行なった低電力モデル空洞の特性試験から、高純度銅材による2.6セル電子銃空洞を20Kまで冷却することで空洞損失が低下し、常温の約5.5倍の無負荷Q値が得られることが確かめられた。高電界放電に関する知見の進展と日大における低温特性試験の結果を踏まえ、日大では新たな課題として、2016年より20K冷却銅空洞による数100MV/mの加速電場とそれによる高品質電子ビーム引出しの実現可能性について検討を始めている。低電力試験用2.6セル空洞の結果では、ピーク電力20MWの高周波入力でカソード表面に250MV/mの最大電界が期待できる。発表では、より大電力を入力した場合に対応した加速構造及び引き出し電子ビームの振る舞い、さらに20K冷却Cバンド空洞における高電界放電頻度の調査を展望した検討について報告する予定である。