THOM14  加速器制御/ 加速器土木・放射線防護  8月3日 小講堂(1F) 15:40 - 16:00
KEKB入射器トンネルにおける微小床面変動とATL則の検証
Minute floor motion and test of the ATL law at the KEKB injector linac tunnel
 
○諏訪田 剛(高エ研加速器)
○Tsuyoshi Suwada (KEK, Acc. Lab.)
 
遠隔制御が可能なレーザー光軸変位センサー(自動センサー)10台を入射器の500m長直線部の建屋継目を挟んだ上下流の加速ユニットに分散設置し、計算機によるデータ収集システムの構築を経て2016年1月から加速ユニットの動的変位の観測を本格的に開始した. 昨年の本学会では、2016年1-7月までに及ぶ入射器トンネルの床面変動の連続観測、特に500m長に渡る床面の複雑な動的変動とその相関解析について報告した. この結果、入射器トンネルの床面変動は500m長に渡り不規則かつ複雑に変動していることがわかった. その後、同データを用いて普遍的な法則として知られているATL則の検証を行った. ATL則は古典的な拡散運動で記述されるが、入射器トンネルの床面変動に関しては、このような描像が成り立たず、変動分散が<x^2> ~ AT^αL^β (T:経過時間, L:二点間距離, α~0.3, β~1)というATL則でうまく記述できることがわかった. 抵抗の無い古典的拡散運動の場合はα ~ 1となるが、α < 1の場合は有限な抵抗が働き拡散速度が抑制されることを示している. 変動量が微小なのでATL則の検証は困難であったが、ようやくその挙動を捉えることに成功し、ATL則の検証が可能となった. 本学会では、入射器におけるレーザー光軸変位センサーシステムを簡単に紹介し、ATL則とは何か、また変動分散<x2>の導出法、ATL則の解析法、検証結果の妥当性を報告する.